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■裁判所からの通知

2020-11-06

「裁判所から通知が届いたが、どうしたら良いか?」という相談が増えています。

消費者金融やカード会社への返済を数ヶ月程度怠っていると、裁判所から通知(特別送達)が届くことがあります。

裁判を起こすには手間も費用もかかりますので、こうなってしまうと、なかなか分割払いには応じてくれません。

だからといってほったらかしにしてけば、そのまま判決が出され、その後は勤務先を知られていれば給料の差押え、銀行口座が知られていれば口座の差押え等をされる可能性があります。

また、身に覚えのない請求(例えば架空請求)であったとしても、裁判所からの通知を放置してはいけません。

何もしないでいると相手の主張がすべて認められることになってしまうので注意が必要です。

裁判所から通知が届いた場合は、身に覚えのあるなしにかかわらず、至急専門家への相談をお勧めします。

■所有権留保について

2020-10-23

 自動車を購入する場合、多くの方がローンを利用されると思います。

 購入者Aが販売会社Bから100万円の自動車を、信販会社Cを通してローンで購入した場合、AがBに払うべき代金100万円をCが立て替えてBへ支払い、購入代金100万円に分割手数料を加えた金額を、AがCに分割で支払うという流れになります。

 このように、信販会社のローンで自動車を購入すると、たいていの場合は自動車の所有者は信販会社Cとなっています(車検証で確認してみて下さい)。ローンの完済までは、購入者に所有権を渡さず、信販会社に留めておく、これが所有権留保です。ですので、ローン支払い中は、原則として自動車を売却することはできません(一方、銀行のカーローンは、このような所有権留保が付かないことが多いですが)。

 ですから、もしローンの返済が滞った場合は、信販会社は自動車の引き上げを要求してきます(自分の物だから当然といえます)。そして引き上げた自動車を売却して残債に充て、それでもローンが残るようであれば、購入者が支払わなければなりません。

 これは債務整理を行う場合も同様で、信販会社Cに専門家が介入すると、Cは購入者に車の引き上げを要求してきます。しかし、任意整理においては、介入する業者を選択することができますので、カードローンのみ債務整理を行い、自動車のローンはそのまま払い続けることが可能です。

 ここで注意しなくてはいけないのは、信販会社Cで自動車ローンとカードローンの2つの取引がある場合です。この場合、カードローンだけを分離して債務整理ができる業者とできない業者があります。もし、分離できない業者に誤って介入してしまうと、上記のとおり、自動車を引き上げられてしまうことになります。こうなってしまうと、後から撤回することはなかなかできません。

 自動車ローンのお支払いにお困りの方、ご自分の自動車ローンが所有権留保かどうか不明な方は、当事務所にご相談下さい。

 

 

 

 

■経費ファクタリングとは?

2020-10-15

 給与ファクタリングに代わって登場してきたのが、「経費ファクタリング」です。

 仕事で利用した交通費や宿泊費、その他の経費は、本来会社から精算してもらえるものです。しかし、その日に精算してくれる会社もあれば、決まった締め日があり、給料日に精算というところも多くあります。

 例えば、今日交通費と宿泊費で3万円使ったけれども、これらが精算されるのは来月の給料日になる、こともあるわけです。その間、どうしても現金が必要になった場合に、その経費分を領収書等と引き換えに買い取ってくれるサービス?が、「経費ファクタリング」です。

 前回お伝えしたとおり、本来のファクタリングは「債権の買取」ですので、ファクタリング業者は買い取った債権の債務者、つまり会社に支払いを請求することになります。

 しかし、「経費ファクタリング」も給与ファクタリングと同様、買い取ってもらった債権を、利用者が買い戻すのが一般的です。しかもその際、かなり高額な手数料を取られることになります。一例を挙げると、2万円分の経費を買い取ってもらい、給料日に4万円で買い戻す、ような感じです。結局のところ、給与ファクタリングと同じような仕組みを取っています。

 利用者本人が債権を買い戻すのですから、実際にはお金を借りているのと同じです。仮に、買い取ってもらった日から支払日である給料日までが1ヶ月であれば、上記の例で言えば、1ヶ月で100%の利息を取られていることになります。年利に直せば1200%という超高金利です。中には契約書を交わす業者もあるようですが、実質はヤミ金と変わらないと言えるでしょう。

 給与ファクタリング同様、「経費ファクタリング」でもお困りの方は、当事務所へご相談下さい。

■給与ファクタリングとは?

2020-10-12

 一時、「給与ファクタリング」という金融サービスがはやっていました。

 そもそも「ファクタリング」とは、他人の売掛金債権を買い取り、その債権を回収する業務であり、これ自体は何ら違法ではありません。

 例えば、A社がB社に「3ヶ月後を支払日とする300万円の売掛金債権」をもっていたとします。そこでA社に緊急の資金需要が生じましたが、手元に現金がありません。その場合に、ファクタリング業者であるC社に、上記の売掛金債権を買い取ってもらいます。

 仮に、C社の手数料が3%だとすると、A社には291万円が入ることになります。そして支払期日である3ヶ月後に、C社はB社から300万円を回収します。差額の3%(9万円)がC社の利益となるわけです。これがファクタリングであり、中小企業や個人事業主等が、緊急の資金が必要となった場合に行われる取引です。

「給与ファクタリング」は、この「売掛金債権」を「賃金(給与)債権」に置き換えたものですが、通常の債権と異なり、賃金債権には「直接払いの原則」というのがあります。労働者の給与については、会社は労働者に対し、直接払わなければならない、というきまりです。

 賃金(給与)債権を譲渡することは禁じられてはいませんが、その場合であっても、会社は労働者に直接賃金を払わなければならないとされています(最判昭43.3.12)。

 そのため、給与ファクタリングにおいては、通常のファクタリングとは異なり、ファクタリング業者は利用者本人へ請求しなければならず、結局のところ、金銭の貸付と変わらないことになります。

 そこで金融庁でも、このような業者は貸金業に該当するため、貸金業登録を受けずに業務を営む者は、違法なヤミ金業者である旨が指摘されています。また、令和2年3月24日の東京地方裁判所の判決においても、給与ファクタリングは、貸金業法や出資法の金銭の貸付に該当し、貸金業法の定める上限利率を大幅に超過する取引であるため無効で、出資法にも違反するので刑事罰の対象になる旨が判示されました。

 給与ファクタリングにおける高金利での貸付が上記の要件を満たせば、民法上の不法原因給付にあたるため、返済の必要がないことになります。

 給与ファクタリングでお困りの方は、お早めに当事務所へご相談下さい。

 また、前記のとおり給与ファクタリングについては、金融庁や裁判所からその違法性が指摘されたためか、次第に姿を消しつつあります。それに代わって、「経費ファクタリング」なる業者が増えてきました。これについては、次回お話ししたいと思います。

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