■時効の援用について

「ずっと以前にお金を借りたことがある業者から、突然督促状が届いた。どうすれば良いか?」という内容の相談があります。

 実際に借りた業者であり、まだ残高が残っているのであれば、確かに支払う義務はあります。ただ、一定の条件を満たせば、「消滅時効の援用」をすることで、支払義務から逃れられる場合があります。

 消滅時効については、民法166条に、①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、②権利を行使することができる時から10年間行使しないとき、に債権(借金)は時効によって消滅する旨が定められています。

 貸金業者との取引においては、ほとんどの場合、上記の①が対象となります。「権利を行使することができることを知った時」とは、簡単にいえば、業者側が「お金を返せ」と言える時です。

 例えば、毎月20日が支払日であれば、借主は20日のうちに払えば良いわけです。ですから業者側も、20日が終わるまでは「返せ」とはいえません。21日になった時点でまだ返済されていなければ、そこで初めて「返せ」と言えますので、ここが「権利を行使することができることを知った時」となり、時効の起算点となります。

 しかし、ここから5年間払わなかったからといって、時効により借金が自動的に消滅するわけでありません。この場合に借金を消滅させるには、貸金業者に対し「消滅時効を援用する」旨の意思表示が必要です。これをやらない限り、貸金業者側は延々と督促を続けてきます。数年間払っていなければ、遅延損害金も相当が額に上るでしょうから、30万円しか借りていなかったのに、100万円以上を請求されることもあります。

 また、支払いをしていない5年の間に、裁判を起こされたり、貸金業者と支払いについての話をしたりすると、消滅時効の援用ができないこともありますので注意が必要です。

 いきなり高額の督促状を送りつけられ、「給料を差し押さえる」「銀行口座を差し押さえる」等の文言が載っていれば、驚いてご自身で業者へ連絡してしまう方もみえると思います。しかし、そこで「分割払いにしてくれないか?」や「今すぐは払えないので少し待ってくれないか?」等のやり取りをしてしまうと、承認による「時効の更新」(民法152条)となってしまうことがあり、これまでの期間がゼロに戻り、新たに時効期間が進行する、つまり消滅時効の援用ができなくなるようなことになりかねません。

 数年間払っていない業者から督促状が届いた場合、慌ててご自身で業者に連絡せず、当事務所へご相談いただければ、消滅時効を援用することで、借金を払わなくてよくなるかもしれません。

 

 

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