自己破産において、自動車を残せるかどうかは、まず、その自動車にローンが残っているかどうかより取扱が異なります。
■自動車ローンが残っている場合
信販会社で自動車ローンを組んだ場合は、通常信販会社が所有権を持ったままになっています(車検証の所有者の欄に信販会社の名前が記載されているケース)。これを「所有権留保」と言いますが、ローンを完済するまでは、完全には自分のものになっていないということなので、ローンが滞った場合や、自己破産を申立ようとする場合は、信販会社に自動車を引き上げられてしまいます。これは、信販会社からすれば、約束を守らないから自動車を返してもらうということなので、むしろ当然のことです。よって、信販会社のローンが残っている場合は、自動車を残すことはできません。
ただ、銀行等で自動車ローンを契約して自動車を購入した場合は、このような「所有権留保」がつくことはありませんので、引き上げられることはありません。
■自動車ローンがない場合
初めから一括払いで購入した場合や、ローンをすでに完済している場合は、その自動車の価値等により、手元に残せるかどうかが変わってきます。
名古屋地方裁判所の運用では、「初年度登録から7年以上経過」していて、「新車価格が300万円以下」の自動車は、原則として評価が「ゼロ」になりますので、手元に残すことができます(中古車屋の店頭で数十万円で売られていても、これは変わりません)。
反対に、「初年度登録から7年未満」又は「新車価格が300万円超」の自動車については、破産申立時に「査定書」(中古車屋等で出してもらいます)を添付しなければなりません。そして、この査定額が20万円以上であれば、処分の対象となり、その代価は破産債権者への配当に回されてしまいます。
このように、自己破産を申し立てる場合、必ず自動車が処分されるわけではなく、あくまでのその自動車の年式や価格によりますので、自動車を処分されるとして自己破産を躊躇されている方は、一度当事務所までお問合せ下さい。