■債務整理と自動車の引き上げ

 自動車をローンで購入した場合(特に中古車)、「自動車の所有権はローン会社に残されたまま」というのが一般的です。車検証を確認していただくと分かりますが、「所有者」の欄には「ローン会社」の名前が、そして「使用者」の欄にご自身の名前が記載されています。これを「所有権留保」と呼びます。

 この「所有権留保」にしておくことで、ローン会社としては、もし返済が滞れば、その自動車を引き上げて売却し、売却代金ををローンの残高に充当することができます。いわば担保のようなものです。もちろん所有者は「ローン会社」ですので、使用者でしかないご自身が勝手に売却することもできません。

 そこで、この所有権留保になっている自動車ローンについて債務整理をした場合にどうなるかですが、原則として「車を返してくれ」ということになり、ローン会社に引き上げられてしまいます。そのために所有権留保付きの契約にしてあるのですから、これはやむを得ません。ですから、通勤等で自動車が必要だという方は、そのローン会社を除いた他社のみで債務整理(任意整理)をしなければなりません。

 ただ、銀行や信用金庫の「自動車ローン」や「マイカーローン」と呼ばれるものは、少し事情が違います。こちらの場合は、「自動車ローン」や「マイカーローン」との商品名は付いていますが、あくまでも単なる「金銭の借入」であり、「銀行や信用金庫でお金を借りて自動車を買う」わけですので、購入する自動車の名義とは切り離されています。つまりこの場合は所有権留保はなく、自動車の名義は購入者ご自身となります。ですから返済中であっても売却は可能ですし、債務整理をして自動車が引き上げられることはありません。

 また、例えばA社で自動車のローンとカードローンの2口の利用がある場合に、自動車は残したいので、「カードローンだけを債務整理する」ということは原則としてできないということです。自動車ローンはそのまま払い続け、カードローンだけを切り離して債務整理ができる業者もないわけではないですが、ごく少数です。

 自動車ローンの債務整理について、もうひとつ注意点があります。これは少しややこしいですが、A社で自動車ローン、B社(消費者金融)でカードローン、C銀行でカードローンがある場合に、自動車は残したいのでA車を除いたB社とC銀行の2社で任意整理をしたとして、問題はここからです。

 銀行のカードローンは、必ず「保証会社」が付いています。保証会社とは、人でいう「保証人」ですから、あなたが債務整理をした場合には、保証人としてあなたに代わって銀行へ弁済することになります(代位弁済)。そしてこの「保証会社」には、たいてい消費者金融や信販会社がなっています。上記の例で、C銀行のカードローンの保証会社がA社だった場合、本来除くはずだったA社の自動車ローンも巻き込まれ、結果として自動車を引き上げられることになります。複数社から借り入れがある状態で債務整理を行う場合は、このようなことも起こり得ます。自動車を残したいから自動車のローンのみ除外すれば良いという単純なことではなく、細心の注意が必要です。

 当事務所は債務整理を専門に行っており、上記のような事案も多数こなしておりますので、安心してお問合せ下さい。

 

 

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