■時効援用を行政書士に頼んだ場合

 先日の相談で、「半年ぐらい前に、時効の援用を行政書士に頼んだのだが、まだ業者から督促状が届く。どうしてなのか?」という方がみえました。

「(消滅)時効の援用」とは、貸金業者から借りたお金や、カード会社のショッピング代金等を、5年以上払っていない場合、一定の手続を取ることで、原則として借金を払わなくて良くなる手続です。

 今回のご相談者(Aさんとします)の場合、10年以上前に消費者金融から50万円を借り入れ、その後しばらくは返済していたのですが、失業等や家庭の事情等で、いつの頃からか返済をしなくなったとの事でした。それから数年経ち、諸事情も解決したため、過去の借金をどうにかしなければと思い立たれたようです。

 ただ、「いつ頃から払っていないのか?」がはっきりせず、Aさんとしては「おそらく5年以上は経っているのではないか?」と考え、たまたまネットで見つけた「行政書士事務所」に消滅時効の援用を依頼したそうです。

 行政書士も内容証明郵便の作成はできるようですが、司法書士や弁護士と異なり「代理人」として相手方と交渉ができるわけではありません。Aさんによれば、当初頼んだ行政書士事務所では、5分程度話をしただけで時効援用ができると言われたため、そのまま依頼したとの事でした。

 しかし、行政書士は内容証明郵便等の通知を作成して発送するだけですので、きちんと消滅時効の援用ができたのかどうかまでの確認はとることができません。また、「代理人」ではないので、依頼後も業者からの督促が止まることはありません。そしてもし消滅時効の援用ができなかった場合の、分割払いの交渉等もすることができません。

 そこでAさんから依頼を受け再度調査することにしました。まず貸金業者からAさんとの取引の履歴(過去の借入や返済の明細)を取り寄せ、内容を確認しました。すると、確かに最後の返済は6年ほどまえでしたが、4年前に業者から裁判を起こされていたことがわかりました。

 裁判を起こされていた場合、その時点で時効の進行はストップし、そこから新たに時効がスタートしますが、今度はそれが10年に延長されてしまいます。ですから、Aさんの場合、まだ時効の援用ができなかったわけです。

 そのあたりの事をお聞きすると、確かに何年か前に裁判所から何か届いた記憶があるようでしたが、その時は家庭の事情等あり、何も対応せずにそのままにしてしまったとの事でした。もともと残金は30万円ほどだったのですが、6年分の遅延損害金が加算され、元金の倍程度の額を払わなくてはならなくなっていました。

 Aさんも今では生活は安定しているので、分割払いなら返していけるとの事でしたので、一部の遅延損害金をカットしてもらい、将来の損害金は付かないという内容で、分割弁済の話をまとめることができました。Aさんご自身は安堵されていましたが、結局、行政書士に払った費用は無駄になってしまったわけです。

 消滅時効の援用手続を取る場合に、最も問題になるのは、「最後の返済したのはいつか?」ですが、現時点からは数年前のことになりますので、どうしても記憶が曖昧になりがちです。ですから、「時効の援用ができると思ったができなかった」ということになりかねません。

 司法書士にご依頼いただいた場合は、前述のように「代理人」として、まず業者から取引の明細を取り寄せて内容を精査し、そして業者へ裁判等の時効更新事由等がないかを確認します。その上で消滅時効援用の手続を取るという流れになります。

 また、もし時効の援用ができなかった場合も、そのまま「代理人」として返済の交渉もしていくことができますので、業者からの連絡や督促に悩まされることもありません。

 当事務所では、消滅時効援用の例も多数ありますので、「突然督促状が届いた!」、「数年間払っていない借金を整理したい」とお考えの方は、当事務所までご相談下さい。

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