■所有権留保について

 自動車を購入する場合、多くの方がローンを利用されると思います。

 購入者Aが販売会社Bから100万円の自動車を、信販会社Cを通してローンで購入した場合、AがBに払うべき代金100万円をCが立て替えてBへ支払い、購入代金100万円に分割手数料を加えた金額を、AがCに分割で支払うという流れになります。

 このように、信販会社のローンで自動車を購入すると、たいていの場合は自動車の所有者は信販会社Cとなっています(車検証で確認してみて下さい)。ローンの完済までは、購入者に所有権を渡さず、信販会社に留めておく、これが所有権留保です。ですので、ローン支払い中は、原則として自動車を売却することはできません(一方、銀行のカーローンは、このような所有権留保が付かないことが多いですが)。

 ですから、もしローンの返済が滞った場合は、信販会社は自動車の引き上げを要求してきます(自分の物だから当然といえます)。そして引き上げた自動車を売却して残債に充て、それでもローンが残るようであれば、購入者が支払わなければなりません。

 これは債務整理を行う場合も同様で、信販会社Cに専門家が介入すると、Cは購入者に車の引き上げを要求してきます。しかし、任意整理においては、介入する業者を選択することができますので、カードローンのみ債務整理を行い、自動車のローンはそのまま払い続けることが可能です。

 ここで注意しなくてはいけないのは、信販会社Cで自動車ローンとカードローンの2つの取引がある場合です。この場合、カードローンだけを分離して債務整理ができる業者とできない業者があります。もし、分離できない業者に誤って介入してしまうと、上記のとおり、自動車を引き上げられてしまうことになります。こうなってしまうと、後から撤回することはなかなかできません。

 自動車ローンのお支払いにお困りの方、ご自分の自動車ローンが所有権留保かどうか不明な方は、当事務所にご相談下さい。

 

 

 

 

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