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■自己破産における同時廃止とは?
破産手続においては、原則として裁判所が破産者の貯金その他の財産を各債権者に案分して配当するのですが、破産者の財産が一定額以下で、破産手続の費用の捻出ができない場合もあります。その場合は破産手続を進めることができないので、破産手続の開始決定と同時に破産手続を終了することがあります。これを同時廃止といいます。
一般的に、ご依頼者に一定額以上の貯金やその他の財産がない場合や、免責不許可事由がない場合は、同時廃止となるケースが多いです。個人の方の自己破産の申し立てで、上記のように一定額以上の貯金や財産がない場合は、大半が同時廃止となります。
同時廃止であれば、自己破産手続の申し立てから免責許可決定までの期間が比較的短く、費用も安く済みます。そして同時廃止となれば、財産を失うことなくそのまま保持することができ、その後に得た財産については、自由に処分する(使える)ことができるようになります。
■自己破産の流れ(同時廃止の場合)
1.相談~委任契約
司法書士が、消費者金融(サラ金)、カード会社名、負債の額、毎月の収支、財産状況等について、時間をかけて丁寧に詳細を聞き取ります。自己破産を申し立てることによるデメリット、手続の流れをご説明し、当事務所の報酬をお伝えした上で、ご納得いただいてから委任契約を締結していただきます。
2.受任通知の発送
委任契約締結後、速やかに各業者へ受任通知を発送します。この時点で消費者金融(サラ金)やカード会社からの督促・取り立てがストップし、以後の支払いも停止していただくことができます。各業者からの請求等が止まるため、少しだけですが、気分的に楽になります。
3.債権届の開示
各業者からの債権届(借金の額が記されたもの)を取り寄せ、ご依頼者の申告額との相違の有無を確認します。複数の貸金業者を利用されている場合、どの業者にいくら借りているのか把握できなくなっている方もみえますので、取り寄せた債権届を調査した上で、そのまま自己破産手続を進めるのが適切かどうかの確認を行います。もしご依頼者の申告額と大きく相違があれば、自己破産ではなく任意整理等の他の手続への方針変更を提案することもあります。
4.破産手続申立書の作成・提出
司法書士がご依頼者から聞き取った情報や、業者から開示された債権届をもとに、破産手続の申立書を作成し、ご依頼者の管轄裁判所へ提出します。
5.裁判所への出頭
裁判所へ出頭し、ご依頼者が自己破産を申し立てるに至った状況等について、裁判官と面談をします(同時廃止の場合、出廷は1~2回)。裁判所によっては、書面審理のみで審尋が行われないところもあります。その場合、裁判所への出頭は不要です。
6.破産手続開始決定及び同時廃止決定~官報公告
ご依頼者に一定額以上の貯金やその他の財産がない場合は、同時廃止となるケースが多いです。そして、破産手続開始決定が出たことが官報に掲載されます。
7.債権者の意見申述
破産手続開始決定から2ヶ月間ほど、債権者からの意見申述期間があります。債権者が免責をさせることに意見を述べることができます。しかし、実務上は、債権者から意見が出ることは稀です。仮に意見が出たとしても、裁判官の裁量により免責が許可されることもあります。
8.免責許可決定~官報公告
債権者から何も意見が出されなければ、裁判所から免責許可決定が届きます。そして免責許可決定が出た旨が官報に掲載されます。
9.免責許可の確定
官報公告がされてから何も問題なく2週間が過ぎれば、免責が確定し、借金の支払義務から解放されます。返済に追われてできなかった貯金もできるようになり、引越しや旅行も自由にできるようになります。晴れて人生の再スタートです。