奨学金の返済をしている20代から30代の方で、他の業者からの借入を含めての債務整理のご相談が増えています。奨学金について債務整理をすべきかどうかを解説します。
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■奨学金の債務整理について
日本学生支援機構の奨学金の場合、通常の金融機関での借り入れに比べ、利息はかなり低く設定されています。また、毎月の返済額も債務総額に対して少額でもあります。さらに、奨学金には連帯保証人が付いているという大きな問題がありますので、一般的に奨学金は債務整理には適していないと言えます。
■奨学金の保証人
奨学金に限らず、人の保証人の付いた借り入れの場合、債務者本人が何らかの債務整理をすると、保証人へ請求が行くことになって、その方へ迷惑がかかることになります。これは任意整理でも自己破産でも、個人再生においても同様です。ただし、機関保証(保証会社に保証料を払っているケース)の場合であれば、保証会社が債権者になるだけですので、奨学金の債務整理を考える場合は、まずはどういう形で保証されているかを確認すべきです。
■奨学金の返済猶予制度等
日本学生支援機構の場合、奨学金の返済が厳しい方に対しては、返済猶予制度や減額制度があります。
毎月の支払額を減らしたり、一定期間返済を待ってもらう制度ですが、支払額を減らした場合は、当然ですがその分返済期間は伸びます。また、一定期間返済を猶予されたとしても、いつかは返済しなければなりません。
ただ、現状の支払は厳しいが、将来的には正規の返済が見込めそうだという方にはとても有益な制度と言えますので、詳しくは日本学生支援機構のホームページをご確認下さい。
■奨学金がある場合の任意整理
借り入れが奨学金のみの場合に債務整理を検討する方はほとんどいらっしゃらないでしょうから、債務整理を検討する方には、その他にも借り入れがある場合といえると思います。冒頭でもご紹介しましたが、奨学金は利息が低く保証人が付いているため、奨学金を外し、それ以外の業者のみで債務整理をしていくのが現実的ではないでしょうか。
■奨学金がある場合の自己破産
もちろん、奨学金であっても自己破産はできます。裁判所の手続で免責が認められさえすれば、他の借金と同様に支払義務は免除されます。
ただし、人の保証人が付いている場合(たいていは親と親戚)は、その方に請求が行くことになりますので、事前に打ち明けておく方が良いでしょう。また、人の保証人ではなく機関保証であれば、そのような心配はありませんので、まずは保証関係がどうなっているかを確認して下さい。
■教育ローンの債務整理
銀行等では、「教育ローン」と呼ばれる商品を取り扱っているところも多数あります。他の商品と比べて多少利息が安かったりすることもあります。しかし、この「教育ローン」は、奨学金とはまったく異なり、通常の銀行ローンにすぎませんので、特に問題なく債務整理も可能です。
ひとつだけ注意すべき点として、銀行での借り入れに債務整理を行った場合で、その銀行に口座をお持ちであれば、一定期間口座が凍結され、お金の出し入れができなくなります。これは、銀行が債権を保全するためであり、もし口座にお金が入っていれば、そのまま弁済に充てられることになりますので、銀行からの借入に債務整理を行う際は、充分に注意すべきです。